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2021年と2024年に予定されている500円玉の改鋳、新紙幣の発行に伴う、券売機業界への影響をまとめました。
2021年には500円硬貨の改鋳が、2024年には新紙幣の発行が予定されています。デザイン変更による偽造防止のため、約20年ごとに定期的に行われており、今回の刷新も2004年以来20年ぶりとなります。
特に紙幣は大きくデザインが変わり、どんな人でも使いやすい「ユニバーサルデザイン」化を図るほか、紙幣の顔も、一万円札は「渋沢栄一」に、五千円札は「津田梅子」に、千円札は「北里柴三郎」に変わる予定。
高精細すき入れ(すかし)や、3D技術を用いたホログラムなどを施すことで、偽造防止をより強化する狙いもあるようです。
2021年9月1日、日本銀行(日銀)において新紙幣の印刷が開始され、新一万円札についても写真によるお披露目が行われました。
世界で初めて紙幣に採用されたという3Dホログラムについても実物が公開され、見る角度によって肖像画が回転して浮かぶというデザインが注目を集めています。
現行の紙幣でもホログラムは採用されているものの、3Dホログラムは一層に偽造が難しい技術とされており、数字のサイズ変更や表面の感触変更などダイバーシティを意識したユニバーサルデザインが取り入れられていることも特徴です。
実際の流通は2年半以上も先となっていますが、現時点から印刷を始めることでテストを早期開始し、運用リスクを軽減していくという政府方針です。
今使っている券売機で、新紙幣・硬貨に対応するには、券売機の改修、買い替えなどをする必要があります。例えば、現行の券売機で新500円硬貨を使用するには、「硬貨選別装置」という部品を交換しなくてはなりません。機種によりますが、部品の交換やプログラムの更新だけで済む場合もあれば、基板交換などハードウェア対応が必要な場合もあり、いずれも費用と時間がかかります。
改鋳(発行)直前になると業者も対応に追われ、作業が間に合わなくなることが予想されるので、部品購入や改修を希望する方は早めに問い合わせた方が良いでしょう。
また、券売機の購入を検討されている方は、改鋳・新紙幣発行でどんな対応をしなくてはいけないのか、機械やメーカーごとの対応をあらかじめよく確認した上で検討をしてください。
新札対応の券売機にシステムを改変することは労力もコストもかかりますが、顧客や消費者はそういった企業や店舗の事情をくみ取ってはくれません。そのため、新札に対応していない券売機やシステムを使ったままにしておくと、顧客や利用者からのイメージが悪くなるだけでなく、使いづらい店や施設だと思われて顧客満足度やリピーター率まで低下してしまいます。
一方、早期に新札対応の券売機を導入しておくことで、新札未対応の券売機の店や施設から流出してきた消費者を獲得できるチャンスが拡大します。
現代の券売機はデジタル化が進んでおり、最新の環境に適応している券売機を導入する場合、物理的な利用環境やシステム的な利用環境に合わせてカスタマイズしたり、そもそも新しい券売機をオーダーメイドしたりすることが可能です。
また、メーカーの保守点検やメンテナンスといったサービスも付帯されているため、導入後に改めて利用効率や業務フローを見直して行くこともできます。
新札の発行が話題となっていますが、そもそも現金を持ち歩かないという人も増えており、キャッシュレス化は国際的にも今後ますます進んでいくと考えられています。また、外国人観光客などインバウンド需要でキャッシュレス決済が求められることもあるでしょう。
重要な点は利用者へ選択肢を提供できるということであり、新札を含めた現金紙幣から電子マネーやQRコード決済などにも対応できる券売機であれば、幅広い客層へアプローチすることが可能です。
中古の券売機は古いシステムを搭載している可能性があり、新札や最新の決済方法に対応できないケースが想定されます。
仮にこれまで通りの決済方法であったとしても、他の店舗や施設で使える新札が使えないとなれば、顧客のイメージも悪化する恐れがあります。
新しい硬貨や新札が普及していくに従って、利用者が新札を使用する機会も増えていき、新札に対応していない券売機では現実的に顧客獲得のチャンスを失いやすくなるでしょう。
改鋳や新札の発行後は旧貨幣の使用頻度が減っていくため、いずれ新しい券売機に交換しなければなりません。
旧式の券売機のメンテナンスコストを支払いながら、さらに新札対応の券売機を導入するのであれば、早めに新札対応の券売機へ交換しておくことがコストメリットを考える上でも有効です。
現在、券売機の導入を検討されている方にとって、500円玉の改鋳と新紙幣の発行は頭の痛い問題かもしれません。購入自体を見合わせるのか、リースやレンタルを利用しつつ発行後に新品を購入するのか、悩んでいる方も多いでしょう。
新品を購入する際は、改鋳後の対応策をメーカーにきちんと確認した上で製品を選びましょう。
このタイミングで中古品を購入するのはおすすめしません。買ってもすぐに改修が必要となり、費用がかさむだけでなく、新品のようなメーカー保証や保守サポートが受けられない可能性があるからです。
キャッシュレス決済が大きく普及する中で、硬貨や紙幣の流通量も減っていくと予想されています。券売機を導入する際は、社会の状況も見据えて、必要な機能、製品を選んで下さい。
券売機の製造・販売を行っている会社を13社調査し、「2021年の500円改鋳に対応&導入事例が豊富な3社」をピックアップ(※)。その3社の券売機を費用の安さと機能性で比較してみました。導入事例はホバー(スマホはタップ)すると詳細が確認できます。
※公式サイトに500円改鋳への対応を表記し、導入事例を公式サイト上で公開し、かつ参考価格を公式サイトやポータルサイトに公開している3社。価格は2022年2月時点のものです。