地震大国の日本では、重量のある券売機の転倒防止対策が欠かせません。お客様の安全確保はもちろんのこと、高額な機器の破損を防ぐためにも足元の固定は必須と言えます。本記事では、転倒防止工事が必要な理由と、アンカーボルトや転倒防止板を用いた具体的な固定方法について解説します。
券売機は一見すると安定しているように見えますが、内部には硬貨や紙幣がつまっているため、機種によっては100kgを超える重量があります。もし大地震が発生してこのような重量物が転倒した場合、近くにいるお客様や従業員が下敷きになり、重大な人身事故につながる恐れがあります。
特に券売機は店舗の出入り口付近に設置されることが多いため、転倒した機体が避難経路を塞いでしまい、逃げ遅れの原因となる可能性も否定できません。店舗の管理者には、施設内の安全を確保する義務があります。万が一の事態が起きた際に「対策をしていなかった」では済まされませんので、来店されるお客様の命を守るためにも、物理的な固定措置は最優先で行うべきリスク管理と言えるでしょう。
券売機は単なる鉄の箱ではなく、内部に精密なコンピューターや複雑な金銭処理機構を搭載したデリケートな機器と言えます。転倒時の衝撃は凄まじく、タッチパネルの画面割れや外装のへこみだけでなく、内部のマザーボードや配線の断線といった致命的な故障を招いてしまいます。一度破損すれば、高額な修理費用が発生するのみならず、修理や買い替え完了までの間、店舗営業に多大な支障をきたしかねません。
また、金銭を扱う機器である以上、衝撃による扉の歪みや開放といった防犯上の懸念もあります。大切な資産を長く安全に使用し、災害後の早期再開を目指すためにも、転倒による物理的ダメージを未然に防ぐ対策が不可欠なのです。
券売機の転倒防止対策において、推奨される方法がアンカーボルトによる床への固定です。これはコンクリートの床面に専用のドリルで穴を開け、金属製のボルトを打ち込んで券売機の脚部を物理的に地面と結合させる施工方法となります。地面と一体化させるため、非常に強い揺れに対しても高い耐性を持ち、機器が移動したり転倒したりするリスクを最小限に抑えることが可能です。
多くの券売機メーカーもこの方法を標準的な設置基準として推奨しており、屋外や屋根のある半屋外などに設置する場合でも高い安定性を発揮します。施工には専門的な工具と技術が必要となるため、基本的には券売機の導入時や移設時に専門業者へ依頼して実施することになりますが、安全面での信頼性は他の方法と比較しても群を抜いています。
建物の構造上の理由やテナント契約の都合で床に穴を開けられない場合には、転倒防止板(安定盤)を使用する方法が有効です。これは券売機の底面に鉄製の平らな板を取り付け、接地面積を広げて安定感を高める仕組みとなっています。本来の設置面積よりも前後に土台を張り出させることで、重心バランスを安定させ、揺れに対する抵抗力を高める効果が期待できます。
アンカーボルトほどの強力な固定力はありませんが、床を傷つけずに設置できるため、賃貸店舗や将来的なレイアウト変更の可能性がある場所では重宝される傾向にあります。また、製品によっては板の上に重りを載せたり、強力な接着マットを併用したりして、さらなる耐震性の向上を図ることも可能です。
床面への固定が難しい場合や、より強固な対策を行いたい場合の補助的な手段として、壁面を利用した固定方法があります。これは券売機の背面と壁をL字型の金具や強度の高いベルトで連結し、前方への転倒を防ぐものです。特に通路が狭く、転倒防止板を設置するとお客様の通行の邪魔になってしまうようなロケーションでは有効な選択肢となります。
ただし、この方法を採用するには、背面の壁自体に十分な強度が必要です。石膏ボードのような薄い壁では、地震の揺れで金具ごと壁が崩れてしまう危険性があるため、必ず壁の裏にある柱(間柱)やコンクリート躯体にビスを打ち込む必要があります。設置環境を選ぶ手法ではありますが、床固定と併用することで、より盤石な地震対策を実現することも可能です。
転倒防止工事を行うのに適したタイミングは、券売機を新規導入する設置工事の当日です。配送や設置設定を行う専門スタッフがその場で床の材質や設置場所の状況を確認し、適切な位置にアンカーボルトの施工を行ってくれます。後日改めて工事を依頼することも可能ですが、その場合は再度作業員の出張費や工事費が発生してしまうため、コスト面で割高になってしまうでしょう。
また、営業を開始してから工事を行うとなると、一時的に稼働を止めたり、お客様のいない時間帯を選んだりと調整の手間も増えます。最初から「固定された状態」で運用を開始することが、安全管理の観点からも、コストパフォーマンスの観点からも合理的で賢い選択となります。
テナントとして入居している賃貸物件では、オーナーや管理会社から床への穴あけ工事を許可してもらえないケースが多々あります。そうした状況では、無理に工事を強行せず、前述した転倒防止板を活用するか、あるいは強力な耐震ゲルマットなどを併用して対策を行うことになります。
しかし、近年では安全管理への意識の高まりから、事情を説明すればアンカーボルトの施工を許可してくれる貸主も増えてきました。退去時に穴を埋めて原状回復することを条件に交渉するなど、まずは管理会社に相談してみることを強くおすすめします。どうしても許可が下りない場合は、メーカーや販売店に相談し、穴を開けない方法の中で安定性が高い設置プランを提案してもらうようにしましょう。
券売機の転倒防止は、店舗における安全管理と資産防衛の両面において重要です。強固で安心なのはアンカーボルトによる床固定ですが、テナントの状況や床の材質によっては、転倒防止板や壁面固定といった別の手段を選ぶ必要が出てきます。どの方法を採用するにしても、何も対策をしない状態が一番のリスクとなります。万が一の事態に備え、ご自身の店舗環境に合わせた最適な方法で、固定対策を行いましょう。
券売機の導入は、人件費削減や業務効率化、キャッシュレス対応を目的とする店舗が多いでしょう。重要なのは、これらの条件を満たしながら、さらに自店舗に適した券売機を選ぶことです。ここでは、省スペース・多店舗・売上管理といった、目的別に3つの券売機メーカーをピックアップ。ぜひ参考にしてみてください。

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